数年に一度、まとまったお金が必要になる車検。必ず受けなければならないものと分かってはいますが、時期が近づいてくると億劫になりますよね。
車検というと自動車のイメージがありますが、バイクにも存在します。しかし排気量によっては車検の必要がないものがあるのはご存知でしょうか。
今回の記事では、
- バイクの車検制度について
- バイクの車検が必要なのは何ccからなのか
- ユーザー車検と業者車検
- バイクの車検に必要な書類や費用
- 自分でできるバイクのメンテナンス
について詳しく解説します。特にこれからバイクの購入を検討される方は、車検の必要有無も購入材料の一つになると思いますので、ぜひ参考にしてください。また現在バイクを所有されている方も、今一度自身のバイクの車検について理解を深めてみましょう。
この記事の要約
- 排気量が250ccまでのバイクであれば車検は必要ない。
- 車検が無いことによるメリット・デメリットが存在する。
- 車検にはユーザー車検と業者車検という選択肢がある。
- 車検にかかる費用や料金についての解説。
- バッテリー交換やオイル交換などは自分でやってみよう。
車検とは
まず車検とは自動車検査登録制度の略で、法律で定められている保安基準に適合しているかを点検する作業のことを言います。ドライバー全員が公道を安全に走る為に必要な検査なので、必ず受けなければなりません。
バイクの車検には最低でも「自賠責保険」「重量税」「印紙代」がかかり、プラス必要な整備代金が発生します。
バイクのみ所有している方であれば車検にかかる費用は1台分で済みますが、自動車とバイクどちらも所有している方であれば、当然2台分の料金が発生します。後者の場合だと、どちらかと言えば必要性のある自動車の車検を優先し、バイクの車検を後回しにする方もいます。もしも車検が切れた状態でバイクを走行していた場合に科せられる罰則は、
- 違反点数6点
- 免停日数30日
- 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
となります。またこの罰則は自賠責保険の有効期間によって変わり、自賠責保険も切れていた場合はより重い罰則が適用されますので注意しましょう。
バイクのcc(排気量)について
よく聞く「cc」とは「排気量」のことを指します。バイクはこの排気量でクラス分けされており、道路交通法によるバイクの区分は、
- 〜50cc「原動機付自転車」(原付)
- 50~400cc「普通自動二輪車」(普通二輪)
- 400cc〜「大型自動二輪車」(大型二輪)
に区分されています。
cc(排気量)によるバイクの違い
排気量が大きいとバイクのエンジンパワーそのものが大きくなり、エンジンのサイズ自体も大きくなるため、それに比例して車体が大きくなる傾向にあります。これらを合わせて考えると、排気量が大きいバイクは瞬間馬力が大きく、優れた加速性能と安定した走りができる点が大きな魅力です。
しかし車体が大きい分、取り回しがやや難しいといったデメリットが挙げられます。反対に排気量が小さくなると瞬間的なパワーは劣りますが、コンパクトで小回りが利くため安定感があるというメリットがあります。
cc(排気量)と運転免許の関係
先に紹介したように、バイクは排気量によってパワーが異なります。そのためバイクを扱う難易度にも差が生じるため、排気量別に必要なバイクの免許が異なるというわけです。
排気量による運転免許の区分は、
・〜50cc「原動機付自転車免許」
・50〜125cc「小型限定普通二輪免許」
・126〜400cc「普通自動二輪免許」
・400cc〜「大型自動二輪免許」
となります。ちなみに筆者は初めから大型自動二輪免許を取得しました。大型自動二輪免許を取得できれば、どのバイクでも購入の選択肢となるのでおすすめです。
バイクの車検が必要なのは何ccから?
実はバイクは排気量によっては車検を受ける必要はありません。車検が必要なければその分維持費もかからないので魅力的ですよね。基準となるのは「排気量が250ccまでのもの」は車検が不要です。一見車検がないというのはメリットに感じますが、もちろんデメリットも存在しますので併せて紹介します。
車検がないメリット
なんといっても車検費用がかからないのが1番のメリットです。対して車検の必要があるバイクの場合、バイクを購入してから2〜3年に一度は必ずまとまった費用がかかります。ちなみにバイクの車検期間には、
・新車で購入した場合「3年間有効」
・中古での購入または2回目以降の車検の場合「2年間有効」
という違いがあります。車検以外にもコンパクトで小回りが利くというメリットもあるので、併せて考えるとバイク初心者の方に向いているかもしれませんね。
車検がないデメリット
自動車を所有している方は想像がつくと思いますが、車検時には必ずといっていいほどオイル交換やブレーキオイル交換などのメンテナンスがありますよね。これはバイクも同じで、車検があるバイクは定期的にメンテナンスを受ける機会が必ず訪れるということです。対して車検の必要がないバイクは、極端な言い方をすると整備工場やバイクショップに必ず訪れなければいけない理由がありません。
つまりバイクのメンテナンスのタイミングは、自身で管理しなければならないということです。バイクは自動車に比べて使用頻度も低い傾向にあるので、ついついオイル交換などの時期も見逃しがちです。自身の愛車を安全に乗るためにも、メンテナンスに関して注意が必要です。
バイクの車検について
前述では車検の必要がないバイクをご紹介しました。次に車検の必要があるバイクについて、車検方法・手続きに必要な書類・費用面などについてご説明します。
車検方法
バイクの車検には自分で手続きを行う「ユーザー車検」と、業者に依頼する「業者車検」の大きく2つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いとは言い切れません。特にユーザー車検は業者車検に比べて費用が安く済む傾向にあるので、バイクを所有している方であれば一度は検討したことがあるのではないでしょうか。ぜひ車検を受ける際の参考にしてください。
ユーザー車検
ユーザー車検とは、車検の手続きを整備工場やディーラーに依頼せずに、自分でバイクを陸運局へ持ち込んで必要な申請や手続きを行う方法です。整備工場やディーラーを介さずに車検を行うので、当然車検代行手数料などが発生しません。つまり車検時にかかる費用を抑えることができます。最低限かかる費用としては、重量税、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)、印紙代というような「法定費用」というものがかかります。この法定費用に関しては、ユーザー車検・業者車検どちらも一律の金額となります。
しかし最初にご紹介したように、車検とは法律で定められている保安基準に適合しているかを点検する作業なので、適合していない場合は当然車検は通りません。保安基準を満たすためにはバイクを整備しなければならないのですが、ユーザー車検の場合は整備工場などを解していないため、自分でメンテナンスをする必要があります。
ある程度の整備知識や工具が必要なので、不安や面倒と感じる方には安全面から考えてもユーザー車検はおすすめしません。バイクの整備も楽しみの1つと捉え、より愛着が湧くような方はぜひユーザー車検にチャレンジしてみましょう。
ちなみに筆者は難しい整備のみを整備工場に依頼し、車検はユーザー車検で行っていました。整備のみ依頼をすれば車検代行費用は発生しないので、よろしければ参考にしてください。
業者車検
前述のユーザー車検とは違い、整備工場やディーラーに車検を依頼する方法です。車検代行手数料などは発生しますが、必要書類やバイクのメンテナンスなど全てお任せできるというのが1番のメリットです。さらにユーザー車検の場合は、自分で陸運局に向かい車検を受けなければいけないので、それなりに時間がかかってしまいます。一発で車検に合格できれば良いのですが、保安基準に満たず再度整備が必要となれば、また時間がかかります。
業者車検は「安全」や「時間」を車検代行手数料というお金で買うと考えれば、コストに見合った価値になると思います。プロの整備士がバイクを見てくれるので、自身で発見できなかった不具合なども見つけてくれるかもしれないので安心ですよね。慣れないうちや時間がない方は、業者車検を検討してはいかがでしょうか。
バイクの車検に必要な書類
車検を受ける際は、必要書類を用意しなければなりません。書類が揃っていなければ車検を受けることができないので、確実に用意をする必要があります。ユーザー車検と業者車検に共通している書類、ユーザー車検のみに必要となる書類があるので、各書類の説明とともにご紹介します。
ユーザー車検・業者車検で共通の必要書類
自動車検査証
一般的に自動車検査証は、車検証と呼ばれているのでそちらの方が分かりやすいかもしれません。車検証は、所有者や使用者の公証をしたり、検査時点で車両が自動車保安基準に適合していたことを証明したりする公文書で、車両に備えつけることが義務づけられています。
ちなみに車検証は紛失した場合、再発行することができます。再発行料は300円で、自動車の車検証再発行料と変わりません。個人情報が記載されているので取り扱いには注意が必要ですが、紛失したからといって焦る必要はありません。落ち着いて陸運局て再発行をしましょう。
自賠責保険証明書
自賠責保険とは自動車および原動機付自転車を所有する全ての者に義務付けられている損害保険で、それに加入していることを証明するための書類が自賠責保険証明書となります。
注意点としては、次回の車検の有効期限まで加入している自賠責保険証明書がないと、車検は受けることができません。ちなみに自賠責保険が切れた車両を運行した場合は、違反点数6点が加算され、ただちに免許停止になるだけでなく、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金に処される重い罰則があります。従って自賠責保険の加入期間は、次回の車検期間を満たしている必要があります。車検日当日に延長する契約をすることも可能です。
軽自動車納税通知書
毎年支払う自動車税の領収書が「軽自動車税(種別割)納税証明書」で、車検の際に軽自動車税(種別割)の未納がないことを証明するものです。注意点としては、手元に届く納付書に、納税後の領収印が押印されている必要があります。
最近はクレジットカードやスマートフォンの決済アプリでも支払えるようになったのですが、その場合領収印の押印がありません。納税証明書が急ぎで必要な方は、スマートフォン決済では納付せず、金融機関、コンビニエンスストア、各区市税の窓口、各区役所内金融機関派出所などで支払いましょう。
また納税証明書を紛失した場合は、市区町村役場の税務を扱う部署(納税課・課税課など、自治体によって名称が異なります)で証明書を再発行してもらえますのでご安心ください。
ユーザー車検のみに必要となる書類
こちらは業者車検を依頼すれば、整備工場やディーラーが用意してくれる書類となります。
継続検査申請書
継続検査申請書とは、車検証を発行する際に使用する専用の用紙をさします。この専用用紙はOCR用紙(専用3号様式)とも呼ばれ、車検の検査が終わった後に陸運局のコンピューターで読み取るために必要となります。継続検査申請書は、当日運輸支局で受け取るか国土交通省のホームページからダウンロードして入手できます。
具体的な記入方法は割愛しますが、インターネットで検索してもでてきますし、困ったら陸運局のスタッフに教えてもらいましょう。
定期点検整備記録簿
定期点検整備記録簿とは、法定点検(12か月点検・24か月点検)の実施内容を時系列によって見比べることができる書類です。定期点検整備記録簿を見るだけで、消耗部品の交換などの整備状況を把握できます。
法定点検を整備工場やディーラーで受けていれば、定期点検整備記録簿は必ず作成されていますが、ユーザー車検の場合は、自分で作成をする必要があります。用紙は整備振興会の窓口で購入できますが、インターネット上で無料ダウンロードすることもできます。
整備工場などで定期点検整備記録簿を受け取ったにも関わらず万が一紛失した場合は、法定点検を受けた店舗に再発行を依頼しましょう。ただしデータが残っていない場合は、再発行できません。車検時まで書類は大切に保管しておきましょう。
バイクの車検にかかる費用
まずは最低限かかる法定費用の内訳からご紹介します。
①重量税
重量税とは、車やバイクの重量、種別、用途、経過年数などに応じてかかる額が決まる国税です。新規検査時や車検のタイミングで、次の車検までの年数分をまとめて納めます。
・初度登録より13年未満の場合は3,800円
・初度登録より13年〜18年未満の場合は4,600円
・初度登録より18年以上の場合は5,000円
②自動車損害賠償責任保険
実は自賠責保険料の金額は、4月から変わることがあります。それは自賠責保険は「商品」としての保険ではなく、収益・損失が出ないようにするという原則に応じて常に調整されているからです。全体的な保険金の支払額によって、保険料が調整されています。
つまり事故発生件数が少なければ保険料は下がり、逆なら上がるということです。こうしたバランス調整は、公的機関によって定期的に審議されています。
また今回の記事では、2024年1月時点、沖縄県を除く離島以外の地域の金額を記載しております。
・排気量125cc未満:原動機付自転車
自賠責保険料(12ヶ月):6,910円
自賠責保険料(24ヶ月):8,560円
・排気量125cc〜250cc未満:二輪軽自動車
自賠責保険料(12ヶ月):7,100円
自賠責保険料(24ヶ月):8,920円
・排気量250cc以上:原動機付自転車
自賠責保険料(12ヶ月):7,010円
自賠責保険料(24ヶ月):8,760円
③印紙代
印紙代とは、検査費用や車検証の発行手数料を支払うための印紙と証紙の代金です。料金は1,700円で、内訳は国の印紙が400円で機構の証紙1,300円となります。
ユーザー車検で最低限の法定点検のみを受けた場合にかかる費用は、およそ20,000円と言われています。また整備工場やディーラーに依頼をして車検を受けた場合にかかる費用は、およそ40,000〜60,000円と言われています。
自分でできるバイクのメンテナンス
この記事を機にユーザー車検にチャレンジしようと考えている方に向けて、自分でできる比較的簡単なバイクのメンテナンスをご紹介します。当然工賃はかかりませんし、なにより自分でバイクを整備するなんてカッコよくないですか。故障には十分気をつけて、できる範囲で行いましょう。詳しいやり方は割愛しますが、筆者がバイクを所有しているときに実際に行っていたものなので、参考にしてください。
洗車
まずは基本の洗車から行いましょう。ただバイクを綺麗にするだけでなく、どこか不具合がないか注意しながら洗車をしましょう。バイクを見るだけで、タイヤの状態や空気圧、ブレーキパットの残量、各ライトの作動チェック、チェーンの汚れ具合など様々なことが分かります。
バッテリー交換
調べてやってみると、意外と簡単にできます。整備工場やディーラーで交換をお願いすると、結構いい値段になるんですよね。自身でバッテリーを外せるようになると、交換だけでなくバッテリーの充電などもできるようになります。特に冬場はバッテリーが上がりやすかったり、雪国ではまずバイクに乗らないので、バッテリーを外せる技術があるととても役に立ちます。
オイル交換
少々難易度は上がりますが、ぜひオイル交換にチャレンジしてみましょう。古いオイルの処分方法は、廃油処理パックというものが売っていますので、それを利用してみましょう。
工具も必要となりますが、自分だけでオイル交換をできた時の達成感は一度は味わって欲しいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「バイクの車検が必要なのは何ccから?必要事項や手順解説」というテーマを元に、
- バイクの車検制度について
- バイクの車検が必要なのは何ccからなのか
- ユーザー車検と業者車検
- バイクの車検に必要な書類や費用
- 自分でできるバイクのメンテナンス
についてお話させて頂きました。排気量が250ccまでのバイクであれば、車検がないのはとても魅力的ですが、バイクのメンテナンスをして貰える機会を作りづらいという部分もあります。安心安全にバイクに乗るためにも、自らメンテナンスについて考えなければなりません。今回記事を執筆するにあたって、筆者もバイクが欲しくなってきました。次に乗るバイクは絶対にハーレーと決めているので、頑張ってお金を貯めようと思います。