自転車事故による賠償請求やケガに備えて、自転車保険への加入を検討していませんか?
バイク保険に加入している人は、特約を付けることで自転車事故への補償を受けられます。また、自分自身だけでなく、配偶者や子どもなどの家族も補償対象です。
本記事では、バイク保険の自転車特約の必要性と補償内容を解説します。自転車保険との違いも紹介しているので、保険加入を検討している人はぜひ参考にしてください。
この記事の要約
- バイク保険の自転車特約は、自転車事故に備えるための個人賠償責任特約と人身傷害保険が必要である。
- 自転車保険と異なり、バイク保険の特約では日常生活の賠償責任も補償される。
- 自転車事故の賠償責任は高額になることがあり、保険加入が推奨されている。
- 加入済の保険と重複しないように特約の確認が重要である。
自転車保険の必要性
自転車は、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層が手軽な移動手段として使っています。一方で、自転車事故によって他人を死亡、ケガをさせた場合、高額な賠償額を請求される事例もあります。
賠償額 | 被害者 | 被害内容 | 加害者 | 裁判所 | 判決日 |
---|---|---|---|---|---|
9,521万円 | 女性62歳 | 後遺障害 | 男子小学生(11歳) | 神戸地裁 | 2013年7月4日 |
9,226万円 | 男性24歳 | 後遺障害 | 男子高校生 | 東京地裁 | 2008年6月5日 |
6,779万円 | 女性38歳 | 死亡 | 男性 | 東京地裁 | 2003年9月30日 |
5,438万円 | 女性55歳 | 死亡 | 男性 | 東京地裁 | 2007年4月11日 |
1億円近い賠償金を請求される可能性もあるため、自己負担でまかなうのは難しいでしょう。小学生をはじめとした未成年に対しても賠償を命じられるため、自転車に乗る人は保険への加入が必須といえるでしょう。
また、自転車事故の被害者を救済するため、各都道府県で条例による自転車保険加入の義務化の動きが広がっています。2023年4月1日時点で、32都道府県が義務化、10都道府県が努力義務化する条例を制定しています。
自分の住んでいる地域が、自転車保険加入を義務づけているか確認しましょう。
バイク保険の自転車特約とは?
バイク保険には、自転車事故への補償を受けられる特約があります。ただし、「自転車特約」という名称では扱っていません。
バイク保険で自転車事故による賠償責任やケガの補償を受けるには、以下の補償や特約を付ける必要があります。
個人賠償責任特約
個人賠償責任特約は、「他人を死亡・ケガさせてしまった」「他人の財物を壊してしまった」など日常生活で事故を起こしたときに発生した賠償責任に対して補償される特約です。「日常生活賠償責任特約」という名称で扱っている保険会社もあります。
補償の対象となる事故の例は以下のとおりです。
- 自転車で歩行者にぶつかり、死亡させてしまった
- 停車中の車に自転車でキズを付けてしまった
- 飼い犬が他人にかみつき、ケガをさせてしまった
- 買い物中にお店の商品を壊してしまった
- 誤ってベランダから物を落とし、通行人にケガをさせてしまった
保険金は1事故につき、無制限、1億円など契約する保険によって異なります。保険料は保険金額によって差はありますが、年間2,000円程度です。なお、特約を使用しても、バイク保険の等級は下がりません。
補償を受けられる人は以下のとおりです。
- 記名被保険者(保険契約したバイクを主に使用する人)
- 記名被保険者の同居の親族
- 記名被保険者の別居の未婚の子
人身傷害保険
人身傷害保険は、運転者や同乗者が事故により、死亡・ケガをした場合に補償される保険です。事故の過失割合にかかわらず、保険金額を上限にケガの治療にかかった費用や休業で減った収入などの実損額が補償されます。
相手からの賠償金では損害額をまかなえないとき、不足分を補填できます。多くの保険会社では、保険金は3,000万円から無制限まで設定できます。また、特約を使用しても、等級は下がりません。
人身傷害保険には「一般」と「搭乗中のみ」の2つのプランがあり、それぞれ補償範囲が異なります。自転車事故への補償があるのは、「一般」のプランです。
「搭乗中のみ」に設定した場合、契約したバイクに搭乗しているときに遭った事故への補償に限られます。自転車事故におけるケガへの補償を付けたい場合、「搭乗中のみ」のプランに設定しないように注意しましょう。
補償を受けられる人は以下のとおりです。
- 記名被保険者
- 記名被保険者の同居の親族
- 記名被保険者の別居の未婚の子
バイク保険の自転車特約と自転車保険との違い
自転車保険は、バイク保険の自転車特約と違い、個人賠償責任とケガへの補償がセットになっています。
自転車保険の個人賠償責任保険は、バイク保険の特約と同様に、自転車事故以外の日常生活で生じた賠償責任も補償します。個人賠償責任の保険金は1億円から3億円です。
自転車保険では死亡や後遺障害が生じたとき、または入院をしたとき契約時に設定された定額の保険金が支払われます。実際に生じた損害額に対して保険金が支払われるバイク保険とは異なるので、注意が必要です。
保険料はプランによって異なりますが、年間2,000円から70,000円と幅があります。また、本人だけ、本人と配偶者などと補償の対象者を限定することも可能です。対象を限定すれば、保険料を安く抑えられます。
バイク保険の自転車特約を付ける際の注意点
バイク保険の個人賠償責任特約と人身傷害保険を付けることで、万が一の自転車事故に備えることが可能です。ただし、特約で自転車保険を利用する際は注意すべき点が3つあります。
- 契約中のバイク保険に特約があるか確認する
- 補償内容が重複していないか確認する
- バイク保険を解約すると補償を受けられなくなる
契約中のバイク保険に特約があるか確認する
バイク保険によっては、個人賠償責任特約を付けられないケースもあります。バイク保険の特約を付け加えられない際は、自転車保険やクレジットカードの付帯保険への加入で対応する必要があります。契約している火災保険・自動車保険に個人賠償責任特約があれば、特約を付けることを検討しましょう。
契約中のバイク保険に個人賠償責任特約がない場合は、別の保険で賠償責任のリスクに備えなければなりません。
補償内容が重複していないか確認する
火災保険や自動車保険に加入している人は、すでに個人賠償責任特約が付いている場合があります。また、TSマークのシールが貼られている場合、点検基準日から1年以内であれば、自転車事故の賠償責任を補償します。
保険の重複加入は、最大の補償額が上乗せされる点がメリットです。ただし、保険料の負担が重くなります。バイク保険の特約を付ける前に、加入している他の保険の補償内容を確認しましょう。
バイク保険を解約すると補償を受けられなくなる
バイクを廃車、売却するなどで保険を解約した場合、特約による補償を受けられなくなります。バイク保険を解約するときは、自転車保険への加入をはじめ別の保険で事故に備える必要があります。
また、バイク保険を乗り換える際は、忘れずに乗り換え先の保険で個人賠償責任特約や人身傷害保険を付けるようにしましょう。ただし、乗り換え先の保険に自転車事故の補償に関する特約がない可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
本記事では、バイク保険の自転車特約について解説しました。
バイク保険で自転車事故に備えるには、「個人賠償責任特約」と「人身傷害保険」を付ける必要があります。自転車に乗る機会がある人は、契約中のバイク保険が上記2つに該当する特約を扱っているか確認しましょう。
ただし、火災保険・自動車保険に個人賠償責任特約が付いている場合は、バイク保険にて特約を付ける必要はありません。クレジットカードの付帯保険、TSマークの付帯保険などに加入している場合も同様です。
まずは、加入している保険の補償内容を確認したうえで、バイク保険の特約加入の手続きを検討しましょう。