「高校生が加入できるバイク保険はある?」
バイクを手に入れる予定の高校生の多くは、自分が加入できる任意のバイク保険を探しているでしょう。
しかし、高校生をはじめとする18歳未満の未成年は、自賠責保険を除きバイク保険の契約ができません。高校生が任意保険に加入するにはどうすればいいのでしょうか?
本記事では、高校生がバイク保険に加入する方法を解説します。また、保険料の相場、保険料を安くする方法も紹介します。
この記事の要約
- 高校生は法定代理人の同意があれば、または親が契約者になることでバイク保険に加入できる。
- 保険料は高校生が交通事故を起こす可能性が高いため、平均よりも割高になる。
- 自賠責保険のみでは高額な賠償金を賄えないため、任意のバイク保険加入が推奨される。
- 保険料を安くするには、補償内容の見直し、ダイレクト型保険の利用、ファミリーバイク特約の利用が有効。
高校生がバイク保険に入る方法
高校生をはじめとした未成年がバイク保険に入る方法は以下のとおりです。
- 本人が契約する
- 親が契約者になる
- ファミリーバイク特約を付帯する
本人が契約する
バイク保険への加入をはじめとして、1人で契約を結ぶ場合は満18歳以上の成人でなければなりません。しかし、親をはじめとした法定代理人による同意があれば、未成年でもバイク保険の契約ができます。
なお、以下の場合は法定代理人の同意を必要とせず、契約できます。
- 婚姻している場合
- 就業している場合(企業に勤務しており、毎月給与を受け取っている)
保険会社によって対応が異なるケースがあるので、未成年でも契約できるか問い合わせをしたほうがいいでしょう。
親が契約者になる
親がバイク保険の契約を結ぶことで、高校生でも補償を受けられるようになります。具体的には、保険契約する際、契約者(保険料の支払い義務を負う人)を親名義、記名被保険者(保険の対象となる車両を主に使う人)を子ども名義にします。
記名被保険者になれる人は以下に該当する人です。
- 契約者本人
- 契約者の配偶者
- 同居している親族
- 別居中の未婚の子
契約者が友人や知人など親族以外の場合は、記名被保険者にはなれないので注意が必要です。
なお、親とバイクを共有する場合は、親が加入しているバイク保険の年齢条件を「全年齢補償」にすることで、高校生の子どもも補償の対象になります。
ファミリーバイク特約を付帯する
親が自動車保険に加入している場合、自動車保険の特約である「ファミリーバイク特約」を付帯することで、万が一のときに補償を受けられます。
補償内容は、本契約である自動車保険の補償と同じ内容です。たとえば、対人・対物賠償が無制限の自動車保険に加入している場合、バイクも対人・対物賠償請求への補償は無制限に受けられます。
ただし、補償の対象は125cc以下のバイクに限られ、125ccを超える中型・大型バイクは対象外です。また、バイク保険と違い車両保険は付帯されません。
事故や転倒により車体に損傷があった場合、修理費用はすべて自己負担になります。
高校生が入るバイク保険料の相場
高校生がバイク保険に加入する場合、保険料はどのくらいになるのでしょうか?バイクに乗る際に加入すべき保険の保険料相場を見ていきましょう。
任意保険
2021年度におけるバイク保険の新規契約台数と保険料の合計から算出した平均の年間保険料は、原付が18,292円、二輪車が29,100円でした。
車種 | 契約台数(台) | 保険料(円) |
---|---|---|
二輪車 | 2,024,860 | 58,923,384,000 |
原付 | 983,735 | 17,994,804,000 |
参照:自動車保険の概況(2021年度統計)|損害保険料率算出機構
高校生は上記の平均の保険料より割高になるでしょう。理由として、バイクによる交通事故の発生率が20歳以下で高いことが挙げられます。
一般的に、事故を起こす可能性が高い場合、保険料は割高に設定されます。このため、高校生をはじめとした未成年のバイク保険料は、算出した平均の保険料よりも高くなるでしょう。
また、補償内容、走行距離、使用目的などでも、保険料は変動します。
自賠責保険
自賠責保険の保険料(本土)は、原付(〜125cc以下)、軽二輪(125cc超250cc以下)、小型二輪(250cc超)それぞれ以下のとおりです。
原付(〜125cc以下)
保険期間 | 12ヵ月 | 24ヵ月 | 36ヵ月 |
---|---|---|---|
保険料 | 6,910円 | 8,560円 | 10,170円 |
1年あたりの保険料 | 6,910円 | 4,280円 | 3,390円 |
軽二輪(125cc超250cc以下)
保険期間 | 12ヵ月 | 24ヵ月 | 36ヵ月 |
---|---|---|---|
保険料 | 7,100円 | 8,920円 | 10,710円 |
1年あたりの保険料 | 7,100円 | 4,460円 | 3,570円 |
小型二輪(250cc超)
保険期間 | 12ヵ月 | 24ヵ月 | 36ヵ月 |
---|---|---|---|
保険料 | 7,010円 | 8,760円 | 10,490円 |
1年あたりの保険料 | 7,010円 | 4,380円 | 3,497円 |
上記の保険料は、どの保険会社を選んでも同じです。また、任意保険と違い、年齢や走行距離などで保険料が安くなることはありません。
高校生にバイク保険は必要?
高校生の中には、バイク保険の保険料は高いと感じ、入らない人もいるかもしれません。しかし、バイク保険に加入していないと、対人、対物事故を起こした際に生じた賠償金を支払えない状況に陥る可能性があります。
過去の判決例では、高額な賠償が認められています。
交通事故高額賠償判決例(人身事故)
認定損害額 | 性別・年齢 | 職業 | 損害 | 裁判所 | 判決年月日 |
---|---|---|---|---|---|
5億2,853万円 | 男性・41歳 | 医師 | 死亡 | 横浜地裁 | 2009年12月27日 |
4億5,381万円 | 男性・30歳 | 公務員 | 後遺障害 | 札幌地裁 | 2009年1月7日 |
3億8,281万円 | 男性・29歳 | 会社員 | 後遺障害 | 名古屋地裁 | 1998年5月18日 |
交通事故高額賠償判決例(物損事故)
認定総損害額 | 被害物件 | 裁判所 | 判決年月日 |
---|---|---|---|
2億6,135万円 | 積荷(呉服・洋服・毛皮) | 神戸地裁 | 1994年7月19日 |
1億3,450万円 | 店舗(パチンコ店) | 東京地裁 | 1996年7月17日 |
1億2,036万円 | 電車・線路・家屋 | 福岡地裁 | 1980年7月18日 |
参照:自動車保険の概況(2021年度統計)|損害保険料算出機構
自賠責保険の保険金の限度額は、死亡3,000万円、後遺傷害75〜4,000万円です。また、自賠責保険には物損事故に対する補償がありません。上記のように高額な賠償請求をされたとき、自賠責保険の補償のみでは対処できなくなります。
万が一、加害者になってしまったことを考え、バイク保険には加入すべきでしょう。
高校生が入るバイク保険を安くする方法
バイク保険の必要性は高いですが、高校生にとって年間数万円の保険料はけっして安いとは感じないでしょう。以下では、バイク保険料を安くする方法を紹介します。
- 補償内容を検討する
- ダイレクト型保険を利用する
- ファミリーバイク特約を利用する
上記の方法で、割高な保険料になりがちな高校生でも、安くバイク保険に加入できるでしょう。
補償内容を検討する
補償内容を必要最低限にすることで、保険料を安くできます。まずは、車両保険を付帯するかどうか検討しましょう。
車両保険は、バイクが衝突・接触事故などにより損害を受けたとき、補償を受けられます。修理費用が高額になった場合、保険金でまかなうことが可能です。
ただし、車両保険を付帯した分、保険料は高くなります。また、保険金を受け取った場合、等級が下がり、保険料の負担が大きくなってしまいます。
車両保険の保険金額はバイクの時価で決まるため、自分で設定できません。時価は、新車購入から年数が経つにつれて下がります。年数が経ったバイクは車両保険に加入しても、十分な保険金を受け取れないかもしれません。
乗る頻度が少なかったり、親の貯蓄で修理費用をまかなえたりする場合は、車両保険をつける必要性は低くなるでしょう。
ダイレクト型保険を利用する
保険料を安く抑えたいなら、ダイレクト型保険の利用がおすすめです。バイク保険には代理店型とダイレクト型の2種類があります。
代理店型は保険代理店を通して加入申し込みをします。一方、ダイレクト型は、代理店を介さずに直接加入の手続きが可能です。
ダイレクト型は、代理店が仲介しない分、店舗の経費や人件費、代理店手数料などのコストがカットされています。そのため、代理店型の保険より割安な保険料で契約可能です。
同じ条件・補償内容でダイレクト型と代理店型の保険料を比較すると、おおよそ2〜3万円の差があります。
担当者と相談できる代理店型とは違い、ダイレクト型は自分で補償内容の設定が必要です。自力でバイク保険について検索、比較ができる人はダイレクト型保険の検討をしてみましょう。
ファミリーバイク特約を利用する
原付バイクを使う場合は、自動車保険に付帯できるファミリーバイク特約の利用も対策の1つです。ファミリーバイク特約は、バイク保険に加入する場合と比べ、安い保険料で補償を受けられるのが特徴です。安い保険料でバイク保険と同様に手厚い補償が受けられます。
バイク保険と異なり、等級制度がありません。事故で保険金を受け取っても、本契約の自動車保険の等級は下がらず、保険料は据え置きです。ただし、無事故で保険を使わなかった場合も、等級アップにより保険料が安くなることはありません。
「高校3年間だけ原付バイクに乗る」「ゆくゆくは大型、中型のバイクに乗る予定」など、短い期間しか原付バイクに乗らない人は、トータルの保険料が安くなるのでおすすめです。
まとめ
本記事では、高校生が入れるバイク保険について解説しました。高校生のバイク保険料は平均より割高になります。しかし、高額な賠償請求に備えるため、必ずバイク保険に加入したほうがいいでしょう。
できる限り、保険料を安くしたい人は以下の方法を試してみましょう。
- 補償内容を検討する
- ダイレクト型保険を利用する
- ファミリーバイク特約を利用する
1人で契約を結べない高校生がバイク保険に入るには、親との相談が必須です。加入するバイク保険については、1人で決めずに親と一緒に検討しましょう。