大学生の中には、免許を取得してバイクに乗り始める予定の方もいるでしょう。バイクに乗る際はバイク保険が必要になりますが、どのくらい補償を充実させるか迷う方もいるのではないでしょうか。
また、大学生の保険料は、全年齢層の中でも高く設定されがちなため、保険料の高さで驚いている方もいるでしょう。しかし、必要最低限の補償とダイレクト型のバイク保険に加入することで、保険料を抑えることが可能です。
本記事では、大学生のバイク保険で必要な補償と保険料を安くする方法を解説します。バイク保険選びに悩んでいる大学生は、本記事を参考にすることで、安い保険料で充実した補償内容のバイク保険の選び方が分かります。
この記事の要約
- 大学生がバイクに乗る際は、対人・対物賠償責任保険や人身傷害保険、無保険車傷害保険などの補償が必要である。
- 保険料を抑える方法として、ファミリーバイク特約の利用や必要最低限の補償内容に絞ることが推奨される。
- ダイレクト型のバイク保険は、代理店型よりも中間コストが低いため、保険料を安くする効果が期待できる。
大学生が加入するバイク保険で必要な補償・特約
大学生も含めて初めてバイク保険に加入するとき、どの補償を付ければいいのか分からない方が多いのではないでしょうか。ここでは、大学生がバイク保険に加入する際、必要な補償と特約を解説します。
対人・対物賠償責任保険
対人賠償責任保険は、事故で相手方に死亡または後遺障害・ケガを負わせたとき、賠償責任の補償をする保険です。一方、対物賠償責任保険は、事故で他人のモノを壊したとき、賠償責任の補償をする保険です。
2つの保険の保険金は、一般的に「無制限」に設定します。事故で加害者になった場合、多額の賠償金を請求されるおそれがあるからです。実際に、過去の判例では、高額な賠償が認められています。
交通事故高額賠償判決例(人身事故)
認定損害額 | 性別・年齢 | 職業 | 損害 | 裁判所 | 判決年月日 |
---|---|---|---|---|---|
5億2,853万円 | 男性・41歳 | 医師 | 死亡 | 横浜地裁 | 2009年12月27日 |
4億5,381万円 | 男性・30歳 | 公務員 | 後遺障害 | 札幌地裁 | 2009年1月7日 |
3億8,281万円; | 男性・29歳 | 会社員 | 後遺障害 | 名古屋地裁 | 1998年5月18日 |
交通事故高額賠償判決例(物損事故)
認定総損害額 | 被害物件 | 裁判所 | 判決年月日 |
2億6,135万円 | 積荷(呉服・洋服・毛皮) | 神戸地裁 | 1994年7月19日 |
1億3,450万円 | 店舗(パチンコ店) | 東京地裁 | 1996年7月17日 |
1億2,036万円 | 電車・線路・家屋 | 福岡地裁 | 1980年7月18日 |
出典:自動車保険の概況(2022年度統計)|損害保険料算出機構
自賠責保険の保険金の限度額は、死亡3,000万円、後遺傷害75〜4,000万円です。また、自賠責保険には物損事故に対する補償がありません。自賠責保険のみでは賠償金を支払えないため、保険金が「無制限」の対人・対物賠償責任保険が必要になります。
人身傷害保険
人身傷害保険は、事故で死傷した場合、実際の損害額を補償する保険です。治療費や休業により減少した収入などに対して、保険金額を上限として事故の過失割合にかかわらず保険金が支給されます。
事故において自分に過失がある場合、相手からの賠償金のみではケガや休業に対する補償が十分ではない可能性があります。とくに、単独事故の場合、相手がいないため、すべて自己資金でまかなわなければなりません。
人身傷害保険を付帯していれば、自分の過失の度合いが多くて、相手からの賠償金が少ないケースでも十分な補償を受けられます。
自己資金の少ない大学生が、事故によるケガの治療費をまかなうためにも、付帯を検討すべき保険です。
無保険車傷害保険
無保険車傷害保険は、事故で死亡または後遺障害が生じ、相手方から十分な補償を受けられない場合に、保険会社が代わりに補償する保険です。
相手方から十分な補償を受けられないケースとして、保険に加入していない自動車・バイクとの事故が挙げられます。
損害保険料算出機構の調査結果によると、バイクの対人賠償責任保険は6割程度が加入していません。また、自動車の対人賠償責任保険においても、2割近くが加入していません。
したがって、無保険車と事故を起こし、賠償金が支払われない可能性は十分にあります。無保険車傷害保険を付けていれば、相手方の支払い能力が不足している場合でも補償を受けられます。
事故で死亡または後遺障害を被った際、相手の自動車・バイクが無保険の場合でも十分に補償を受けるためには必要な保険です。
弁護士費用特約
弁護士費用特約は、事故で被害を受けた際、弁護士に損害賠償請求の委任や法律相談をするときに生じる費用を補償する特約です。
事故が発生した場合、相手方と交渉を行い、賠償金額の決定とその支払いについて取り決めます。しかし、提示された賠償金額に納得いかなかったり、交渉が思うように進まなかったりする場合もあります。
上記の事態になったとき、弁護士に相談・依頼すれば、交渉がスムーズに進むうえ、適切な賠償金額を受け取ることが可能です。
弁護士費用特約を付帯すると、相手方との交渉を弁護士に依頼した際に発生した費用を、保険金額を上限として保険会社が支払ってくれます。
大学生のバイク保険料の相場
大学生がバイク保険に加入した場合、年間どれくらい保険料を支払う必要があるのでしょうか。
2022年度におけるバイク保険の新規契約台数と保険料の合計から算出した平均の年間保険料は、原付が17,850円、二輪車が28,813円でした。
車種 | 契約台数(台) | 保険料(千円) |
---|---|---|
二輪車 | 2,075,984 | 59,814,789 |
原付 | 1,017,588 | 18,164,011 |
出典:自動車保険の概況(2022年度統計)|損害保険料率算出機構
大学生のバイク保険料は、上記の平均保険料より高くなると考えられます。保険料が高くなる理由として、大学生をはじめとした若年層は事故率が高いためです。
警察庁の調査によると、10万人あたりのバイク乗車中の死傷者数は20代前半が最も多いことが報告されています。事故のリスクが高い場合、保険会社は保険料を割高に設定することが一般的です。
大学生は、他の年齢層より割高な保険料を支払うことになるでしょう。
大学生のバイク保険料を安くする方法
大学生がバイク保険に加入する場合、割高な保険料を支払う必要があります。しかし、万が一の事故に備えるためにも、バイク保険の加入は必須といえるでしょう。
できる限り、保険料を安くするにはどうすればいいのでしょうか。割高な保険料を抑えるには、以下の方法をおすすめします。
ファミリーバイク特約を利用する
原付バイクを利用する場合は、ファミリーバイク特約で万が一の事故に備えることが可能です。
ファミリーバイク特約は、自動車保険に付帯できる特約の1つで、保険料は通常のバイク保険より割安になります。対人・対物賠償責任保険の保険金は本契約の自動車保険と同額です。自動車保険で「無制限」に設定している場合、ファミリーバイク特約の保険金も「無制限」となります。
また、ファミリーバイク特約の「人身傷害型」を選択することで、バイク保険の人身傷害保険と同様に実際の損害額を補償します。
両親のいずれかが自動車保険に加入している場合は、ファミリーバイク特約による補償を検討してみるといいでしょう。
補償内容を検討する
バイク保険の補償内容を必要最低限に絞ることで、保険料を抑えられます。
補償内容を検討する際、まず車両保険を付けるか検討してみましょう。バイクの修理や再購入にかかる費用を自分で出せる場合、車両保険は必要ないでしょう。また、中古のバイクに乗る場合、車両保険の保険金が少なくなるので、必要性は低くなります。
また、人身傷害保険も同様に検討しましょう。人身傷害保険には、「車内のみ補償」と「車内+車外補償」の2種類があります。
「車内のみ補償」は、契約しているバイクに乗車中の事故のみ補償しますが、保険料は安く抑えられます。一方、「車内+車外補償」は、「車内のみ補償」の補償内容に加え、他人のバイクに乗車中や歩行中の事故も補償しますが、保険料は割高です。
不要な補償を外すことで、バイク保険の保険料を安くできます。
ダイレクト型のバイク保険に加入する
バイク保険を選ぶ際、ダイレクト型のバイク保険に加入すると、保険料を安くすることが可能です。バイク保険には、ダイレクト型と代理店型の2種類があります。
代理店型は、代理店の担当者を経由して、保険加入の手続きをします。対面で説明や疑問に応えてくれるのが特徴です。しかし、店舗の経費や人件費、代理店手数料などがかかるため、保険料は割高です。
一方、ダイレクト型は、ネットや電話などで保険会社と直接やり取りして、手続きを進めます。代理店を介さないため、中間コストがカットされて、割安な保険料でバイク保険の提供が可能です。
安くバイク保険に加入したいと考えているなら、ダイレクト型のバイク保険の中から選ぶようにしましょう。
保険料が安いダイレクト型のバイク保険をランキングや口コミで簡単比較する。
まとめ
本記事では、大学生のバイク保険に必要な補償、保険料の相場と安くする方法について解説しました。大学生をはじめとして若年層は事故率が高いため、バイク保険料が高めに設定されるでしょう。
大学生が安い保険料で保険に加入したい場合は、以下の方法があります。
- ファミリーバイク特約を利用する
- 補償内容を検討する
- ダイレクト型のバイク保険に加入する
上記の中でも、ダイレクト型のバイク保険は手軽に保険料を抑えられるため、おすすめです。これからバイク保険を選ぶつもりの大学生は、ダイレクト型のバイク保険を取り扱う保険会社に見積もりをとってみてはいかがでしょうか。