バイクに乗る際、気をつけるべきことの1つとして立ちゴケ(走行中以外のバイク転倒)が挙げられます。立ちゴケをしてしまうと、バイクに傷がついてしまい、最悪の場合走行不能になる可能性があります。
バイクの損傷につながる立ちゴケを防ぐには、どのような対策をとればいいのでしょうか。本記事では、バイクの立ちゴケの原因と対策、立ちゴケしてしまったときの対応を解説します。
バイクの扱いに慣れていない方は、本記事の内容を参考にすることで、立ちゴケする可能性を低くできます。また、万が一立ちゴケしてしまっても、あわてずに対応できるでしょう。
この記事の要約
- バイクの立ちゴケの原因には、集中力の低下、足つきの悪さ、急ブレーキ、エンスト、不安定な路面、Uターンがある。
- 立ちゴケ防止策として、こまめな休憩、足つきの改善、リアブレーキの活用、安定した地面への停車が推奨される。
- 立ちゴケ時の対応は、安全確認、バイクの起こし方、損傷チェック、警察や保険会社への連絡が重要である。
- エンジンガード、エンジンスライダー、サイドスタンドプレートなどのパーツは、立ちゴケ時の車体保護に役立つ。
バイクの立ちゴケの原因
バイクの立ちゴケは車体のバランスを崩してしまうことで起こります。バランスを崩す原因として、次のものが挙げられます。
集中力の低下
疲れがたまったことによる集中力の低下は、立ちゴケする原因となります。
「目的地に到着したとき気が抜けてバランスを崩してしまった」「停車時にサイドスタンドをかけたと思い、そのままバイクを倒してしまう」など普段ではしないミスをする可能性があります。
長距離ツーリングをはじめとして長時間運転する際は、こまめに休憩をとるように心がけましょう。
足つきの悪さ
足つきの悪さも立ちゴケの原因の1つです。
シート高が高いバイクに乗ると、シートに座ったときに足がつかないケースがあります。足に地面がしっかりつかないと、踏ん張りがきかないのでバランスを崩しやすくなります。
バランスが取りづらい場合は、バイクの足つきが悪い可能性を疑ってみましょう。
急ブレーキ
急ブレーキは、バランスを崩す原因となり、立ちゴケにつながります。
ブレーキをかけすぎると、サスペンションが沈み込み、反動によりバランスを崩してしまう恐れがあります。また、ABS非搭載のバイクでブレーキを強くかけるとタイヤがロックしてしまいます。そのまま滑ってしまい、転倒につながるため、大変危険です。
ブレーキングをはじめとして、バイクの乱雑な運転はしないようにしましょう。
エンスト
発進直後にエンストして、立ちゴケする場合もあります。エンストした場合、駆動力がなくなったバイクは不安定になり、そのまま車体が倒れてしまう可能性があります。
発進時は、ラフなクラッチ操作やアクセル操作をするとエンストを起こしやすくなるため、丁寧な操作を心がけましょう。また、発進してしばらくの間はエンストする可能性があることを頭に入れて運転するといいでしょう。
路面が不安定
砂利道や落ち葉、雨水が溜まっている場所では、足を地面につけたときに滑って転倒してしまう恐れがあります。路面が悪い状況でのバイクの停車時、乗降時は、焦らずに1つ1つの行動をとることが重要です。
また、やわらかい土の上にバイクを停車させる場合、スタンドが地面にめり込んで転倒するケースもあるため注意が必要です。
Uターン
Uターンは低速走行をせざるを得ないため、立ちゴケしやすくなります。バイクは低速走行であるほど不安定になり、バランスを崩しやすくなります。
道路状況やUターンに自信がなかったりするなど少しでも不安を感じる要素がある際は、無理せず足がついた状態でUターンしましょう。
バイクが立ちゴケしたときの対応
もし、立ちゴケしてしまった場合はどのように対応すればいいのでしょうか。立ちゴケしたときの対応の手順は以下のとおりです。
周囲の安全確認とエンジン停止
交差点をはじめ交通の流れがある場所で立ちゴケしたときは、まず、周囲の安全確認をしましょう。現場の安全を確認できたら、キルスイッチもしくはメインキーでエンジンを停止します。
バイクを起こす
安全を確保したら、バイクを起こします。バイクが左側に倒れた場合の起こし方は以下のとおりです。
- チェンジレバーを操作して、ギアを1速に入れる
- ハンドルをロックする
- フロントブレーキを握った状態で固定する
- しゃがんで車体の下に両膝を入れる
- 足の力で一気にバイクを起こす
- サイドスタンドを出す
車体の下に両膝を入れる際、上半身をタンクまたはシートに密着させます。起こすときは、ハンドルやフレームなど丈夫な部分を持つようにしましょう。
右側に倒れた場合は、上記の手順で起こす前にサイドスタンドを立てます。1人でバイクを起こすのが困難なときは、周囲の人に助けを求めましょう。
車体へのダメージはないか確認
バイクを起こしたら、安全な場所へ移動させた後に、車体へのダメージはないか確認します。ミラーやウインカー、ブレーキレバー・クラッチレバーなどが破損していないか念入りにチェックしましょう。
警察・保険会社に連絡する
立ちゴケにより破損した部分の修理に車両保険を使いたい場合、警察への届け出は必須です。保険金を請求する際、交通事故証明書が必要です。警察に届け出をしていない場合は、交通事故証明書の発行ができないため注意しましょう。
ガソリンやオイルが漏れている、エンジンがかからないなど走行ができないときは、保険会社やJAFなどのレッカーサービスを利用しましょう。なお、バイク保険に加入している場合は、一定の距離まで無料で移動してくれます。
バイクの立ちゴケへの対策
バイクで立ちゴケしないためにできる対策は以下のとおりです。
こまめに休憩をとる
長距離運転する予定がある場合は、1〜2時間ごとに1回休憩をとるようにしましょう。長時間休みを取らずに運転すると、疲労がたまり、注意力が散漫になりがちです。
サイドスタンドを立てることを忘れたり、不意にバランスを崩したりするなど普段ではありえないミスをしてしまうかもしれません。長距離ツーリングをする際は、疲労を感じる前に定期的に休みをとるように心がけましょう。
足つきをよくする
バランスを崩して転倒しないようにするには、足が地面にしっかりつくバイクに乗るようにします。新しくバイクを購入する際は、自分の体格に合ったバイクを選びましょう。
すでに、バイクを購入してしまった場合は、以下のカスタムをして、足つきをよくします。
- シートの中のクッションを薄くする
- ローシートへの交換
- ローダウンキットへの交換
- バイク用厚底ブーツの着用
バイクの足つき改善をすることで、車体のバランスが取りやすくなり、立ちゴケ防止につながります。
停車時はリアブレーキを使う
停車するときは、リアブレーキを活用すると、車体が安定します。フロントブレーキは、制動力が強いため、停車時にフロントブレーキを強くかけると、バランスを崩す原因となります。
停車時をはじめとした低速走行をする際は、フロントブレーキだけでなくリアブレーキも同時にかけましょう。
路面が安定している場所に止める
やわらかい土や砂利道など不安定な場所にバイクを止めると立ちゴケの原因になります。なるべく安定した地面の上にサイドスタンドを立てるようにしましょう。
どうしても不安定な地面の上に停める必要があるときは、できるだけ水平にして、鉄板の上にサイドスタンドを立てましょう。
立ちゴケからバイクを守るお役立ちパーツ
万が一、立ちゴケしてしまった場合に車体の保護や車体を起こすのに役立つパーツを紹介します。
エンジンガード
エンジンガードは、バイクのエンジン部分に装着するパーツです。エンジンはバイクが走行するうえで重要な部分ですが、むき出しになっており、保護されていません。
転倒してエンジンが損傷した場合、安全に走行できなくなります。エンジンガードを装着することで、転倒時にエンジンが直接地面にたたきつけられることを防ぎます。
装着することで、前輪・後輪・エンジンガードの3カ所で車体を支えてくれるため、他のパーツが受ける損傷も抑えることが可能です。また、転倒したバイクを起こしやすくなります。
エンジンスライダー
エンジンスライダーは、バイクのエンジン周辺に取り付ける筒状のパーツです。エンジンガードと違い、小型パーツなので、バイクの外見を損なわずに車体の保護が可能です。
立ちゴケしたときに車体が接地することを防ぐため、パーツの損傷を防止できます。エンジンをはじめ、損傷したら走行に支障をきたす部分の保護も可能です。
エンジンガードと同様に、装着していると転倒したバイクを起こしやすくなります。
サイドスタンドプレート
サイドスタンドが地面にめり込んで立ちゴケしてしまうことを防ぐアイテムです。接地面積が広がるため、地面にかかる力が分散されます。
そのため、地面にスタンドがめり込むことなく、バイクが安定した状態で停められます。サイドスタンドプレートには持ち運び式と取り付け式があるので、お好みの種類を選びましょう。
フロントブレーキロック
フロントブレーキを常にかけた状態にできるアイテムです。バイクを起こす際、フロントブレーキをかけていないと、車体が動いて安定しません。
フロントブレーキロックはブレーキをロックした状態にするため、車体が動いてしまう事態を防げます。
まとめ
本記事では、バイクの立ちゴケの原因と対策を解説しました。立ちゴケしてしまう原因として、集中力の低下や足つきの悪さ、不安定な路面などがあります。
立ちゴケを未然に防ぐためには、足つきの改善やこまめな休憩、不安定な路面に停車しないなどの対策を取りましょう。また、車体の損傷を防止するパーツを装着しておくと、万が一の立ちゴケにも安心です。
なお、バイクの立ちゴケで走行不能になったとき、バイク保険に加入していれば、無料でレッカーサービスを利用できます。立ちゴケによる万が一の事態に備えるためにも、バイク保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。