バイクに乗る方にとって高速道路の利用は効率的で便利な移動手段です。ツーリングで遠出をする時は、高速を使う人も多いと思います。その一方でバイクではなく原付を日常使いする方にとっては高速道路を走れるのか、疑問を持つ方も多いですし、使いたくなる気持ちも出てくるのではないでしょうか。
この記事では、原付と高速道路の関係を詳しく解説し、法規制や安全性、排気量ごとの違いを整理します。さらに、バイクを安心して利用するためのバイク保険やロードサービスについても取り上げます。またバイク(原付)関連の法律が2025年4月から変更となります。その為、事前に知識を入れておきましょう。
この記事の要約
- 現行法では原付(50cc以下・125cc未満)は高速道路を走行できない。
- 2025年4月から原付の定義が変更され、125cc以下のバイクが運転可能に。
- 125ccバイクの高速道路走行では装備や運転技術、安全対策が重要。
- 高速走行時の保険やロードサービスの選択が重要で、適切な補償を検討すべき。
高速道路を走行可能なバイクの排気量条件とは
バイクに乗る楽しみの一つとして、高速道路を使った長距離ツーリングが挙げられます。しかし、すべてのバイクが高速道路を走行できるわけではなく、一定の排気量条件を満たしている必要があります。
高速道路を走行するためのバイクの排気量条件や関連するルールについて解説します。日本の道路交通法では、高速道路を走行できるバイクの排気量について明確に定められています。次の条件を満たしていないバイクは、高速道路を走行することができません。
走行不可なバイクの種類:125cc以下のバイク(原付一種・原付二種)
原動機付自転車(50cc以下)および原付二種(51cc~125cc)は、高速道路および自動車専用道路を走行することが法律で禁止されています。これは、速度制限や車体性能、安全性の観点から定められたルールです。
走行可能なバイクの種類:126cc以上のバイク(軽二輪・小型二輪):走行可能
126cc以上のバイクは、高速道路を走行することが可能です。具体的には、126cc~250ccの軽二輪と、251cc以上の小型二輪が該当します。
また、排気量が126cc以上であれば高速道路を走行できますが、二人乗りをする場合には追加で以下の条件があります。
- バイクは排気量が251cc以上であること。
- 運転者が普通自動二輪免許または大型自動二輪免許を取得して3年以上経過していること。
ただし、二人乗りが禁止されている場所も存在します。例えば、首都高速道路・阪神高速道路では、免許取得後1年以上経過していないと二人乗り禁止となっています。そして危険性が高いため終日二人乗りが禁止されている区間もあります。
原付とは?高速道路は原付で走れる?
では、原付で高速道路は走れるのでしょうか。
まず最初に、原付の基本的な定義と種類について整理しましょう。
原付とは?法律で定められた定義とその種類
日本の道路交通法では、原付は「原動機付自転車」として定義されており、2種類に分類されています。
- 排気量:50cc以下
- 定格出力:0.6kW以下(電動バイクの場合)
- 特徴
・最高速度は30km/hに制限されています。
・交差点では二段階右折が義務付けられる場合があります。
・主に通勤や通学、近距離移動に利用されることが多く、価格も手頃で初心者に人気があります。
原付一種は、排気量が小さく、軽量なため、都市部や狭い道での移動に適しています。その一方で速度も30kmしか出せず、長距離走行には不向きです。近くの学校や職場への通勤や通学、ちょっとした買い物程度で使われることが一般的です。
- 排気量:51cc以上125cc未満
- 定格出力:0.6kW超~1kW以下(電動バイクの場合)
- 特徴
・車両ナンバープレートは黄色またはピンク色。
・速度制限は一般車両と同じ(60km/h)で、二段階右折の義務はありません。
・排気量が高いため、一般道路で車の流れに乗りやすく、中長距離の移動にも対応可能です。
原付二種は、小型二輪と同様の扱いです。原付一種より排気量も多く、速度も60kmまで出せる為、遠出やツーリングの用途として乗ることが可能です。近年では、それなりに遠出もでき、かつ手軽に乗れることから人気が高まっています。
高速道路は原付で走れる?
結論としまして、2025年1月時点(2025年4月改定前)の法律では原付は高速道路の利用はできません。原付で高速道路を走行すると法律違反となるので注意しましょう。
現行の法律では、高速道路を走れる車両は3つの基準が定められています。
- 排気量が125cc以上であること
- 最低速度を維持できる性能を持つこと
- 適切な免許を所持していること
排気量が125cc未満の原付一種および原付二種はこの排気量の要件を満たさない為、高速道路を走行することが法律で禁止されています。
高速道路では最低速度50km/hが定められており、これを維持できる車両のみ走行が許可されています。
普通二輪免許(小型限定以上)を持つことが条件となります。
上記が高速道路を走れる車種のルールですが、原付は主に以下の理由で、高速道路の走行を禁止されています。
- 速度制限が合わない
- 車体性能の限界
- 排気量の観点
原付一種の最高速度は30km/hであり、高速道路の最低速度50km/hを満たせません。原付二種はこちらの基準はクリアしているものの、他の自動車が60km以上、場合によっては80kmや100kmオーバーで走っていることを考えると、原付で走ることを禁止している理由がわかります。
原付は高速走行に耐えられるエンジン性能や車体の安定性が不足しています。急な坂道や風の強い環境では、操作が不安定になることがあります。特に高速では、トンネルもあり横風が強いポイントが多いです。横転し、大けがに繋がりやすいことを考えると、原付が高速道路を禁止されている理由も納得です。
高速道路では125cc以上の排気量の車が走行可能です。現行法での原付はこの条件を満たしていません。
原付で高速道路を走行した場合の罰則とは
日本の道路交通法では、原付の高速道路走行は禁止されています。その為誤って侵入したとしても罰則があります。原付で高速道路を走行した際、どのような罰則があるのか解説します。
道路交通法第75条の4では、「高速自動車国道においては、原動機付自転車及び自動車(小型特殊自動車を除く)以外の車両の通行を禁止する」と明記されています。これにより、排気量50cc以下の原付やミニバイクは高速道路を走行することが法律上認められていません。また、自動車専用道路(自動車専用の一般道路)についても、道路交通法第48条で「原動機付自転車の通行は禁止」と規定されています。
つまり、高速道路だけでなく、自動車専用道路にも原付で進入することはできません。万が一、原付で高速道路に進入した場合、以下の罰則が科されます。
通行禁止違反(道路交通法第120条)
罰則:5万円以下の罰金
具体的には、「通行禁止道路通行違反」として取り締まりの対象になります。
道路交通法違反による行政処分
違反点数:2点
違反が発覚すると、免許の点数が加算されるため、累積違反がある場合には免停などの処分に繋がる可能性があります。
事故を起こした場合の重い責任
正確には罰則ではないのですが、高速道路は制限速度が一般道路より高いです。その為原付が進入すると重大な事故に繋がる可能性が極めて高くなります。万が一事故を起こした場合、過失割合が大きくなり、相手方への損害賠償責任が多額になる可能性があります。
原付の定義変更!高速走行可能に!?
現在の日本の原付免許制度では、上記の総排気量50cc以下の原動機付自転車一種を運転することができます。しかし、この免許制度には、安全性や実用性の観点から課題が指摘されています。
まず、最高速度30km/hという制限があるため、他の車両と同じ道路を走行する際に交通の流れに乗りづらく、逆に危険な場面が生じることがあります。また、50ccのエンジン性能では坂道や長距離走行での実用性が低く、利用者の減少が見られます。これらを解決するために、今回原付の定義(法律)が変更となります。
原付の定義変更の背景には、交通の利便性向上や安全性の確保が挙げられます。125ccバイクは、50ccバイクに比べてスピードや加速性能が高く、交通の流れにスムーズに乗ることができます。これにより、交通事故のリスクが低減し、渋滞の緩和にも寄与すると考えられています。
また、最近の125ccバイクはABS(アンチロックブレーキシステム)やトラクションコントロールなどの安全装備を搭載しており、初心者にも扱いやすくなっています。
具体的な変更内容
新しい制度では、原付免許で125cc以下のバイクが運転可能になります。これにより、最高速度も100km/h程度まで引き上げられる見込みです。具体的には、2025年4月から新基準原付免許制度が施行され、原付免許に簡易な実技講習が追加される形で新設されます。従来の学科試験に加え、基礎的な実技試験が課される可能性もあります。
影響とメリット
この定義変更により、原付バイクの利用範囲が大幅に広がります。例えば、郊外の幹線道路やバイパスでの走行が快適になり、通勤や通学、ツーリングなどの用途が増えます。また、125ccバイクは低燃費で維持費も比較的安価なため、経済的なメリットも大きいです。さらに、長距離移動やツーリングが可能になることで、趣味としてのバイク利用の幅が広がります。
一方で、注意すべき点もあります。125ccバイクは50ccバイクに比べて重量があり、加速力も高いため、運転初心者には扱いが難しい場合があります。そのため、基礎的な運転スキルを習得することが重要です。また、従来の原付用保険では125ccバイクはカバーされない場合があるため、適切な任意保険に加入する必要があります。
高速道路を利用する場合の注意点
普段原付を運転している方が125cc以上のバイクを運転する際には慣れない挙動もあることから注意が必要です。特に原付だけを運転してきた方は高速道路での運転経験がありません。高速道路を利用する際には、事前の準備と注意点を守り運転しましょう。
走行前のチェック項目
- 車両の点検
- タイヤの空気圧
- ブレーキの効き
- 燃料やエンジンオイルの残量
- ライトやウィンカーの動作確認
走行前の準備項目
保護装備の準備
ヘルメットは必ずフルフェイス型やジェット型を選び、顎をしっかり保護しましょう。プロテクター付きのジャケットやグローブ、パンツを着用することで、転倒時の衝撃を軽減できます。
目的地の確認
高速道路の入り口や出口を事前に確認しておきましょう。スマートフォンのナビアプリを活用するのも便利です。
高速道路走行中の注意点
原付で高速を走る場合には独自の注意ポイントがあります。免許講習では深く習いませんので、意識して走行するようにしましょう。
①大型車両にはなるべく近寄らない
バスやトラックなどの大型車両の真後ろを走行していると、視界をふさがれて前方が見えにくくなります。渋滞や事故などで突然前の車が急ブレーキをかけた場合、対応が遅れて追突してしまう可能性があるので要注意です。
また、大型車の横を並走していると、強い風圧を受けて車体が不安定になることがあります。風圧に巻き込まれると大型車のタイヤに引き寄せられることもありますので、バスやトラックなどにはなるべく近寄らないようにしましょう。
②横風に注意する
高速道路は開けた場所が多いため、横風が強く吹きやすい傾向にあります。特にトンネルの出口や高い位置にある道路は風の影響を受けやすいと言われています。長距離ツーリングをする場合は注意が必要です。
また、原付は自動車に比べると車体が軽く、風であおられやすいので、高速道路を走行中はニーグリップをしっかり行うことを心がけましょう。
③渋滞中のすり抜けはしない
高速道路で渋滞が発生している際、つい車と車の間をすり抜けたくなることがあります。
ただ急な幅寄せや割り込みなどが発生し、接触事故に発展するおそれがありますので、渋滞中は自動車の列に沿って走行するようにしましょう。
④合流に注意する
ICやSA、PAから本線に合流する流れは一般道ではない動きになります。加速車線でスピードを出してから、本線を走る車を目視しつつ、慎重に合流する必要があります。
合流する際は本線のどの車の後ろにつくかをあらかじめ決めておき、加速後は本線を見ながら目当ての車の後ろについていくように合流しましょう。
高速道路を原付で走行する際に知っておきたいバイク保険のポイント
原付で高速道路を走行する場合、最も心配なのは故障や事故時の対応です。通常の公道と異なり、高速道路では路肩で簡単に修理することが難しく、レッカー移動が必要になるケースがほとんどです。
そこで重要なのが、ロードサービス付きのバイク保険に加入することです。多くのバイク保険では、故障や事故時にレッカー移動を行ってくれるロードサービスが付帯しています。特に以下の点をチェックしておくと安心です。
①無料で運べる距離
10kmまで無料、50kmまで無料など保険会社によって異なる。特に遠出をする方は、無料の距離をチェックしましょう。
②ガス欠対応
ガソリンの補充サービスがあるかどうか。
③パンク修理対応
応急処置が可能かどうか。
④宿泊・帰宅費用補償
修理に時間がかかる場合に宿泊費や交通費が補償されるか。
またロードサービスのほかに、バイク保険には、代理店型とダイレクト型の2種類があります。コストを抑えつつしっかりとした補償を受けたい場合は、ダイレクト型の保険がおすすめで、事故対応や補償の選択を丸投げし安心したい場合は代理店型がおすすめです。
代理店型とダイレクト型の違い
項目 | 代理店型 | ダイレクト型 |
---|---|---|
申込方法 | 代理店を通じて契約 | インターネットや電話で直接契 |
価格 | やや高め | 比較的安価 |
サポート | 対面での相談が可能 | オンラインや電話での対応 |
保険の自由度 | 代理店の提案に基づく | 自分で必要な補償を選べる |
バイク保険を選ぶ際には「保険代理店型」と「ネット保険」のそれぞれにメリットとデメリットがあり、自分のライフスタイルやニーズに合った保険を選びましょう。
代理店型の特徴
保険代理店型のメリットとしては、専門知識を持つ担当者が契約者の相談に対応してくれる点が挙げられます。初めてバイク保険を選ぶ場合や複雑な保険プランについて不明点がある場合でも、具体的で分かりやすい説明を受けることができます。
また、代理店では契約前だけでなく契約後のフォローも手厚いのが特徴です。事故が起きた際にも担当者が直接手続きをサポートしてくれるため安心感があります。さらに、個々の状況に応じた保険プランの提案を受けられる点も代理店型のメリットです。
例えばバイクの使用目的や頻度に合わせて適切な特約を追加するなど、柔軟な対応が可能です。
しかし、代理店型にはデメリットも存在します。まず、代理店を通すことで手数料や運営コストが保険料に上乗せされることがあります。そのため、ネット保険と比較すると全体的に保険料が高くなる傾向があります。さらに、多くの代理店は営業時間が限られているため急ぎの相談や事故対応が必要な場合でもすぐに連絡が取れないことがあります。
ダイレクト型の特徴
一方、ダイレクト型のメリットとしては保険料が安い点が挙げられます。ネット保険は代理店を介さないため中間コストが抑えられており、その分保険料が割安になるのが大きな魅力です。
また、インターネット上での契約に特化しているためシンプルで効率的な運営が可能となり、低価格を実現しています。さらにネット保険では24時間いつでも契約や手続きが可能です。忙しい人や急ぎで保険に加入したい場合に便利です。
また、複数のダイレクト型保険会社のプランを自分で比較できるため条件や価格をしっかり見比べた上で選択ができます。オンライン上の見積もりツールを活用すれば数分で保険料の試算が可能です。
代理店型とダイレクト型のどちらを選ぶか迷うかもしれませんが、コストパフォーマンスや利便性を重視する場合にはダイレクト型がおすすめです。ネット保険は保険料が安く、シンプルな手続きで契約が完結するため、特に忙しい人や合理的な選択をしたい人には最適です。
バイク保険の特約
バイク保険には、基本補償のほかにさまざまな特約が用意されています。高速道路を走る際に役立つ特約をいくつか紹介しますので、保険を選ぶ際にはこの特約がついているか、もしくはつけられるか気にしましょう。
レンタルバイク特約
万が一事故でバイクが修理不能になった場合、レンタルバイクを一定期間利用できる特約です。高速道路上での事故では、大きなダメージを受ける可能性もあるため、長期間の修理が必要になることがあります。すぐに代わりのバイクを利用できる為、例えば通勤通学に利用している場合も非常に便利です。
弁護士費用特約
速道路での事故は、一般道よりもスピードが出ているため、過失割合のトラブルが発生しやすいです。万が一、相手との示談交渉がこじれた場合、弁護士費用特約があると専門家のサポートを受けることができます。
搭乗者傷害保険
事故の際に、自分がケガをした場合に補償が受けられる特約です。原付は車体が小さく、高速道路では他の車両と接触すると大きな事故に発展する可能性があります。医療費や入院費用をカバーできる特約を付けておくと安心です。
まとめ
原付では2024年時点では高速道路を走行することはできませんが、2025年の法律改定で125cc以上のバイクであれば高速道路を利用することが可能となります。高速道路の走行に備えて、装備の準備が必要です。法律の改定と共に、乗っているバイクを確認し、必要なものを揃えていきましょう。さらに、バイク保険やロードサービスへの加入は、高速道路に乗るようになり長距離移動をすればより重要性が増すものです。これからのツーリングをより安心なものにするために、ぜひ保険の見直しを検討してみてください。