「バイク事故で怪我する部位はどこだろう?」
「バイク事故で怪我したとき、保険金はもらえるだろうか?」
バイク事故にあってしまった際、怪我や保険の補償が気になる方は多いのではないでしょうか。バイク事故で怪我した場合、治療費だけでなく、仕事を休んだことや後遺障害による収入の減少も考えなくてはなりません。
しかし、バイク保険に加入していれば、事故による怪我に対して十分な補償があるため、治療費等の心配は不要です。ただし、保険金をもらうには、警察に連絡することをはじめ事故後の対応が重要になります。
本記事では、バイク事故直後の対応や請求できる賠償金、バイク保険に必要な補償を解説します。万が一のバイク事故に備えたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要約
- バイク事故で怪我しやすい部位は頭部と胸部で、重傷者や軽傷者は腕と脚が多い。
- 事故後は警察や保険会社への連絡、病院での診断が重要である。
- 賠償金として治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料が請求できる。
- 人身傷害保険や無保険車傷害保険、弁護士費用特約の加入が推奨される。
バイク事故で負う怪我の部位
バイク事故では主にどの部位を怪我するのでしょうか。
警察庁の調査によると、バイク事故での死者の多くは、損傷主部位(損傷程度が最も重い部位)が頭部・胸部で、死者全体の7割近くを占めます。一方、重傷者や軽傷者の場合、損傷主部位が腕・脚の割合が多く、それぞれ5割を占めています。
頭部や胸部を損傷した場合、死亡する確率が高いので、ヘルメットだけでなく胸部プロテクターの着用も必須です。また、腕や脚のプロテクターも着用すれば、事故による被害は少なくなるでしょう。
バイク事故についてくわしく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
バイク事故で怪我を負ったときの対応
バイク事故にあった際、以下の対応をします。
上記の対応をしないと、賠償金や保険金による十分な補償が受けられない可能性があるため注意しましょう。
なお、バイク事故での対応についてくわしく知りたい人は以下の記事を参考にしてください。
警察に連絡する
事故にあった場合は、必ず警察に連絡しましょう。相手方がいる場合は一緒に事故現場に残るようにします。
警察への届け出は保険金を請求するうえで必須です。保険金の請求には、「交通事故証明書」が必要になります。警察に届け出をしなかった場合、「交通事故証明書」は発行されないため、保険金の請求ができない可能性があります。
また、警察に調書を作成してもらうためにも、連絡は必須です。警察が作成する調書は、示談交渉における賠償金額の算定に重要な資料です。調書の内容次第では、示談交渉で不利になる可能性があるので、できる限り正確な情報を提供しましょう。
自分の怪我に対して十分な補償を受けるために、警察への連絡は必ずしましょう。
保険会社に連絡する
警察への連絡をはじめ初期対応が終わったら、加入する保険会社にネット・電話で連絡、または代理店に連絡します。自分が被害者で、相手方がいる場合、保険会社に報告する内容は、主に以下のとおりです。
契約者の情報
- 保険の証券番号
- 氏名、生年月日、連絡先
- 免許証番号
- ナンバープレートの番号
- 怪我の状態および車両の損傷状況
相手方の情報
- 氏名、住所、連絡先
- ナンバープレートの番号
- 怪我の状態および車両の損傷状況
事故の状況
- 事故発生の日時、場所、道路状況
- 事故発生の状況(車両の動き等)
病院へ行く
事故直後、とくに異常はなかったが、むちうちのように後から症状が生じた場合は、すぐに病院に行き、診断書をもらいましょう。警察署にて物損事故から人身事故に切り替えるには、診断書の提出が求められるからです。
切り替えの手続きは事故発生から10日以内を目安に行いましょう。時間が経つほど事故との因果関係を疑われ、対応してくれない可能性があります。
なお、保険会社に保険金を請求する際、診断書と治療費の領収書が必要です。病院で受診した際は、忘れずに請求しましょう。
事故にあった直後に加害者と交渉しない
事故直後、加害者から交渉を持ちかけられても、応じないようにしましょう。口頭であっても、お互いに合意した場合は交渉が成立してしまい、撤回や再交渉ができません。
後から、「むちうちのような後遺障害が残ってしまった」「入院・通院が必要で収入が減ってしまった」などの事態が生じても、追加で賠償金を請求するのは困難です。その場で交渉してしまった場合、本来請求できる賠償金額よりはるかに少ない金額しか受け取れない可能性があります。
治療が終わったタイミングをはじめ請求できる賠償金額が確定したときに、交渉しましょう。
バイク事故で怪我を負ったときに請求できる賠償金
バイク事故で被害を受けた場合、治療費の実費以外にもさまざまな費目を加害者に請求できます。被害者が請求できる賠償金は以下のとおりです。
なお、休業損害、慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類があり、それぞれ算定金額が異なるので注意しましょう。
治療費
治療費は、完治または症状固定(治療しても改善の余地がない状態)するまでにかかった費用を加害者に請求可能です。ただし、交通事故による怪我の治療に必要かつ相当な範囲に限られます。
診察料や入院費だけでなく、入通院にかかった交通費や診断書の発行費用なども治療費として請求できます。相手方に請求できる治療費は、主に以下のとおりです。
- 治療費(診察料、入院費、手術費など)
- 証明書の発行費用(診断書、交通事故証明書の発行費用)
- 交通費
- 入通院付添費(近親者、看護師の付き添いが必要な場合)
- 入院雑費
休業損害
休業損害は、事故により仕事ができなくなったことにより減った収入のことです。事故当時、働いている人だけでなく、就職先が決まっている人も休業損害は認められます。
また、休業損害は会社員だけでなく、家事労働者(専業主婦・主夫)や自営業者、アルバイトしている学生も請求可能です。
休業損害の損害額は、以下の式にもとづいて計算します。
休業損害=基礎収入(日額)×休業日数
基礎収入は、自賠責基準では原則1日につき6,100円です。一方、弁護士基準で計算する場合、基礎収入は事故前3ヶ月間の収入を実稼働日数で割ります。そのため、弁護士基準で算定した休業損害の金額は、自賠責基準より高額です。
逸失利益
逸失利益は、事故で死亡または後遺障害が残らなければ、得られたであろう収入の減少分のことです。事故で後遺障害が残ってしまった場合、以前と同様に働けなくなった、職業選択の幅が狭まったなど、得られるはずの収入を失ってしまいます。
事故で得られたはずの収入を失った分の補償を受けるため、被害者は賠償金として請求できます。逸失利益は、会社員や自営業など事故当時働いていた方だけでなく、学生や専業主婦など収入がない方も請求可能です。
なお、逸失利益は以下の内容にもとづいて金額を決めます。
- 事故前の収入
- 失った労働能力の割合(後遺障害の等級)
- 労働能力を失った期間
慰謝料
慰謝料は、事故にあったことで受けた恐怖や不安などの精神的苦痛に対する賠償金です。請求できる事故の慰謝料は以下の3種類です。
- 入通院慰謝料(入院・通院したとき)
- 後遺障害慰謝料(後遺障害を残ったとき)
- 死亡慰謝料(死亡したとき)
慰謝料は自賠責基準と弁護士基準では算出される金額が異なります。怪我で入院・通院をした場合、自賠責基準で慰謝料は、1日につき4,300円で計算されます。一方、弁護士基準では過去の判例をもとに設定された基準で計算され、自賠責基準で計算された金額より高額です。
バイク事故の怪我に備えるために必要な補償・特約
バイク事故において被害者は、治療費や慰謝料など相当額の賠償金の請求が可能です。しかし、自分に過失がある場合は、過失割合に応じて加害者から支払われる治療費、慰謝料が少なくなります。
また、相手が無保険だった場合や交渉次第では相場以下の賠償金しかもらえない可能性が高くなります。このような事態に陥らないためにも、バイク保険への加入が必要です。
ここでは、保険契約時に加入すべき保険・特約を紹介します。事故に備えるために必要な補償・特約は以下のとおりです。
人身傷害保険
人身傷害保険は、事故で怪我をした場合に生じた治療費や休業損害、逸失利益などの損害額を補償する保険です。
通常、相手から賠償金を受け取り、損害が補償されます。しかし、自分にも事故の過失がある場合は損害額全額を賠償金でまかなえず、不足分は自己資金でまかなわなければなりません。
また、単独事故で怪我した場合、相手がいないため治療費、休業損害などはすべて自己負担です。上記のような状況でも、人身傷害保険を付けていれば、保険会社が損害額全額を支払ってくれます。
相手方との賠償金額に関する交渉の成立を待たず、保険金が受け取れる点もメリットの1つです。スピーディーに保険金が支払われるので、金銭面の心配をせず、治療に専念できます。
無保険車傷害保険
無保険車傷害保険は、支払い能力がないことをはじめ相手方から十分な補償を受けられない場合、保険会社が代わりに補償する保険です。保険金は、事故で死亡または後遺障害が残った場合に支払われます。
加害者側が任意保険に入っておらず、賠償金の全額が支払われない可能性があります。また、加害者が逃亡して、賠償金の請求ができないケースも考えられます。
無保険車傷害保険を付帯していれば、相手方からの補償が不十分だった場合でも、死亡または後遺障害に対して十分な補償を受けられます。
弁護士費用特約
弁護士費用特約は、弁護士に損害賠償請求の委任や法律相談をするときに生じる費用を補償する特約です。
事故が発生した場合、相手方と賠償金額について交渉をします。しかし、自分で交渉を進める場合、交渉内容がまとまらない可能性があります。
一方、弁護士に交渉を依頼した場合、法的に主張・立証していくことからスムーズに進めることが可能です。また、賠償金を弁護士基準で請求できるため、保険会社から提示された金額より高額な賠償金を受け取れる可能性が高まります。
交渉を弁護士に依頼するときの費用は実費ですが、弁護士費用特約を付けていれば、保険金額の上限までなら補償してくれます。万が一事故を起こした際、賠償金額の交渉を有利に進めるためにも、付帯を検討すべき特約です。
まとめ
本記事では、バイク事故で怪我を負いやすい部位、事故後の対応と請求できる賠償金について解説しました。
もし、バイク事故で怪我または死亡・後遺障害が残った場合、治療費の実費はもちろん、相当な額の休業損害、逸失利益、慰謝料の請求が可能です。ただし、事故状況や賠償金の交渉次第では、受け取れる賠償金額が少なくなるおそれがあります。
上記の場合に備えるためにも、バイク保険に加入することをおすすめします。加入する際、付帯したほうがいい補償・特約は以下のとおりです。
バイク保険の補償内容を検討中の方は、本記事で紹介した内容を参考に保険を探してみてはいかがでしょうか。
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